詐欺師はガラス細工のような繊細で端正な顔を持ち、
影絵のようにしなやかなスタイルをしている。
高級なスーツに身を包み、女性をエスコートする姿は、
誰が見ても惚れ惚れするほどエレガントだ。
彼が醸し出す流麗な言葉は優雅な旋律に乗り…
美しい調べを奏でて女性の心を踊らせる。
言葉を自由自在にあやつるファンタジスタなのだ。
まだ三十そこそこと年は若いけれど、食い物にしてきた女性は数知れない。
詐欺師にボロボロにされ、自ら命を断った女性も一人二人じゃ済まない。
「心が痛まないのかい?」と、
誰かが詐欺師に訊ねると、詐欺師は鋭い笑みを浮かべながら決まってこう答える。
「騙されるほうが悪いんだぜ…
でも、まあ…
俺に騙されない女なんかいないけどな」
現在、詐欺師がターゲットにしている娘がいる。
特別な美人ではないけれど、身なりもいい、言葉使いも上品だし教養もある
米蘭旅遊 。
漂う気品や威厳から、詐欺師はただのお嬢様じゃないことを確信していたので、
焦らず丁寧に骨の髄までしゃぶりつくそうと計画を練っていた。
その娘から家に遊びに来ないかと誘われた。
「パパの誕生パーティーがあるの」と。
もちろん詐欺師は了承する。
相手の素性をよりよく知れるいい機会だし、